#054 七つの習慣

ティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』。世界中で一千万部を超える大ベストセラーを今更ながら読んでみた。


衝撃を受けた。これまで読んできた自己啓発本とは次元が違う。


いわゆる自己啓発本の多くは、成功のモデルケースを一つ掲げて、「完璧な人間」を目指しましょうというのがほとんどだ。それらは、本当にいいことが多く書かれてあるし、読み終わった後には何がしかのパワーをもえらる。しかし、しばらく経つとそういった感動が薄れるとともに、サイズの合わない服を着させられているような違和感めいた感覚を徐々に覚える。それはきっと、モデルケースからはみ出てしまった部分の「自分らしさ」を否定し続けなければいけないからだろう。


一方の『7つの習慣』は「完璧な自分自身」を追求していこうというスタンスである。「自分にとっての幸せ」というものを非常に考えさせられる。
決められたモデルケースの通り成功したとしても、それは本当の幸せといえない。何故なら、幸せの形というのは一人一人異なるものだからだ。


コヴィー氏は本書で一人一人の人間の相違点を尊び、相乗効果・相互共存を提唱する。『7つの習慣』はビジネス書や自己啓発本として売られているが、もっと土俵の大きいな「哲学」や「人間学」だと言える。


キナ臭く感じてしまったかもしれないが、ビジネス書だけあって生産性を上げるということだけに焦点を当てても、例えば第三の習慣である「重要事項を優先する」などはビジネスシーンですぐに役立たせることができるだろう。


著者は違うが、同じ会社から出版されていて姉妹本といえるハイラム・W. スミス著『TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究』、こちらもお勧め。主に時間管理がメインに扱っており、「生産性のピラミッド」と「リアリティー・モデル」という思考モデルは、非常にシンプルながら実践的なツールとして使える。